近頃わたし

撮影してもしょうもないので文章だけで、失礼です。

近頃、以織はサクイ土にはまっています。
粘りも無ければ、腰も無い。
やっとこさロクロが引ける土がお気に入りです。
なだめなだめてロクロを引きますが、
腰が無いので、短い時間処理です。
もっとも、どんな土も三回で引き上げて、後はへらで整えるだけ。
いつもと変わらないのですが、ここまでサクイと難儀します。

茶碗形という最もベーシックなロクロ引き。
しかし、これほど難しいロクロ引きはありません。
なので惹かれるわけなんだ。

焼物は焼き上げてなんぼの世界。
扱い易い土が果たして良い焼き上がりかと言えば、まずはダメ。
扱いにくい土の方が焼き上がりは往々良い。
しかしながら、この土はなんだ。
期待していたのに、テスト焼きの結果が悪い。
けど、カイラギはいいんだよな。
釉薬の濃度を再調整だ。

まあ、いつもこんな感じ。
小さなテスト窯も窯焚きと数えたら
年間120日は焼いている。
いつも、どこかの窯に火が入っている感じの以織窯。
焼き上げる数は半端でないが、作品としてチョイスできるのは僅か。
という事は、いつまでたっても下手なわけです。

でもね、もっともっと良き物を見たいと思いませんか。
だから、いつだってレシピを変えます。
留まっているのは性にあいません。
まあ、いつも「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですがね。

                   鄙爺・以織
スポンサーサイト

今なぜ蝉?

5月20日のブログ「泥舟沈没」に
17日に仲森さんとその高尚なお仲間が
ここ以織窯にて開いてくださった茶会記を載せましたが、
以織には疑問が湧きました。
あそこまで周到にお道具を用意する仲森さんなのに
なんで「蝉」なの。

そうなんです。濃茶の茶碗に蕎麦手の銘「蝉」が使われました。
以織にとっては垂涎の出来映えのいい高麗茶碗です。
銘が「蝉」であろうとなかろうとおかまいなし。
名品を手に出来るうれしさで当日は気付きもしませんでした。

仲森さんのお答えを以下にそのまま掲載します。

 例えば蕎麦茶碗ですが、
 蕎麦茶碗が今後の課題になることを意識した部分もありますが、
 銘の「蝉」をとって今回の茶碗に選びました。
 和漢朗詠集に
 千峰鳥路含梅雨 五月蝉声送麦秋
 という詩があり、
 この季節と秦野の情景にぴったりということで選んだものです。
 茶杓の銘の「峰」で一応、これを受けたつもりです。

へーえ。お茶人の頭の中は鄙の陶工では計る事ができません。
こちらは蝉の「抜け殻」状態です。
現在の暦と違って陰暦の5月には蝉が鳴き始めていたのですね。

これが、茶人の「密やかな楽しみ」なんですって。

                   以織記

Gift(岐阜人)



こんどは夢中人さんがやって来ました。
岐阜から4時間半かけて。
出来事そのものが以織にとって「贈物」。
夢のような出会いです。

岐阜市から石原忠光さんが、
わざわざこの山奥へ足を運んでくださいました。
きっかけは、かの宇宙人さんのフェイスブックです。
宇宙人さんが以織窯サイトアドレスを記載してくれていました。
それをご覧になって急遽いらしてくださったのです。

写真左から宇宙人さん、鄙じじ以織、石原忠光さんです。

石原さんは岐阜市にて石原美術を経営なさっておいでの方です。
https://www.facebook.com/pages/石原美術/575356415875308

石原さんも宇宙人さんも茶道に明るく、美しい日常を心がけておられて、
鄙に住まう以織のなんと無知蒙昧なことか、つくづく思い知らされます。
陶工を言い訳に不勉強をしてきた歳月は取り戻せませんね。

そんな以織ですが、石原さんが拙作を
「21世紀がある。忠実コピーではつまらない」と評してくださり。
ほっとしたやら、うれしいやら。
往復9時間を無駄にさせては心苦しいかぎりですから。

しかしながら、世の中に夢中人は、どっこい生き残っているものですね。
還暦を過ぎても追いかけている人がいるのは心強い限りです。
「古くて新しい茶の湯の創造者」を身近にすると、
「古くさい茶碗づくり」と
自己を揶揄してくるしかなかった鄙爺に勇気が湧きます。

石原さん、ご指導よろしくお願いいたします。

                       以織爺

そうそう宇宙人さんは、本日、帰還の途につきました。
10光年、20光年後、以織窯での生活が役に立っていたらイイネね。



泥舟沈没

本日、来客あり。
楽しい時間を過ごさせていただいたが、
そのことは残念ながら次回にのばさねばならなくなった。
その訳とは、お茶会で使用した「離れ」を掃除していたら、
棚の底から、下記の書き付けが出てきたのです。
そのまま記します。

平成26年以織窯出張茶会記
             平成26年5月17日
  濃茶
花  季のもの
花入 時代籠
掛物 鉄船浮水上 天佑紹杲筆 湯木貞三旧藏
茶入 蝋燭手 野々村仁清作 銘漁火 小堀宗慶箱
茶杓 金森宗和作 近衛家煕筒 古筆了伴箱
茶碗 井戸脇 銘 村雨
   蕎麦 銘 蝉

  薄茶
茶器 認得斎好柳蒔絵一閑折撓棗 十一代飛来一閑作
茶杓 益田徳隣 銘 峰
茶碗 絵高麗 永楽和全作 
替  金海 仁阿弥道八作

以上です。
いくら「鉄船浮水上」といえども、
愚かな愚かな以織でありまして、
仲森さんの心遣いに、きちんと対応できていませんでした。
「泥舟沈水中」の心境です。
ありがとうございました、仲森さん。
そして、ごめんなさい。    
                 以織爺 

鉄船浮水上



あり得ないことが起こりました。
時は5月の17日。日本晴れの土曜日でした。
そして以織窯初の茶会だったのです。

さーて、我が家に茶室はありません。
6畳の「離れ」があります。
杉板張りの板の間にて、およそ茶室とは言えません。
無理矢理言えば「お堂」のような作りです。
そこへ東京から大勢の方々が集まってくださいました。

仕掛人は、誰あろう。そうです、やっぱりあの人です。
仲森智博さんと高尚なお仲間たち。
伊勢屋美術の猪鼻さんもご一緒です。
美味しいお茶を点ててくださったのは神谷先生。
大勢のお客様なのに、丁寧に丁寧に何度も点ててくださいました。

簡易床に大徳寺169世・天佑和尚の「鉄船浮水上」。
その下に仲森氏がここ蓑毛で摘んだ野花を生けたやさしい竹籠が。
茶入れも茶杓も名品。
濃い茶は,これも仲森さんご持参の井戸脇と蕎麦手。
薄茶茶碗だって、以織窯の今後を意識くださっての揃え方です。
ともかくやはり本物は迫力が違いますね。

でね、不釣り合いなのが我が家のお道具。
大きな置き囲炉裏に季節はずれの大きな釜を
自在鍵でつるしました。
なぜって、これだけ大勢の用に足る持ち合わせがありません。

お茶をお点てになる神谷先生は、
お湯を汲むたびに中腰にならねばなりませんでした。
なのに皆さん、「山小屋の茶だ」と喜んでくださって。

そうそう、14日より我が家に寄宿中の、京都の名門窯の跡取りさん
通称「宇宙人さん」も同席しましたよ。
彼は若くても茶の湯の造形深い方、無知な以織とは違います。

今回のお軸「鉄船浮水上」は
「あり得へんことがおこるやろ」の意です。

もちろん、修行を重ねればの前置きがあるはずですが、
そこは鄙爺、ぐうたらでも幸せに運が良いわけです。

宇宙人来訪

ただいま当窯初の異文化コミニケーション中です。

おはようございます。ごぶさたしていました。
訳は、我が家の片付けに追われていたからです。

なんと一昨日から、我が家に宇宙人さんが来ています。
20数年前、ここ蓑毛に越してきた頃は11人の大所帯でした。
時代は変わり、今は老人が密やかに住んでいます。
そこへ突然、まったりとした宇宙人さんの来襲です。

この宇宙人さんは京都という星からやってきたそうです。
何代も続く京焼きの名門窯の跡取りさんです。
歳はちょうど我々の子供と同じ、30代半ばです。
およそ京都星のイメージに似つかわしくない髭づら、
なのに、やっぱり京都弁で語ります。

育ちがいいとは、かくのごときか。
とても素直で、もの応じせず、意見をしっかりお持ちです。
華麗な京焼きと、以織老の高麗茶碗焼きとでは接点がなさそうですが、
京焼きの元祖にして、名工の誉れ高いかの仁清さんも、
高麗茶碗写しをしていたそうです。

いま京都星の陶芸界ではルネサンスが始まっていて、
それで「古典に帰れ」と、
この若い宇宙人さんは情報収集に来た訳です。

うーむ。たしかに我々は古代人。
合点がいくような、いかないような。

とはいえ、とても熱心です。
夜遅くまで、手回しロクロを前にして、慣れない土と格闘しています。
そうなんです。いかにロクロ陶工といえども、
不慣れな土を前にしては、思うようにいかないものです。
この以織なら、そんな無謀はやめにしますが、
若者にはパワーがありあまっています。

宇宙人と喩えては申し訳ないことですが、
まず我々の所へ来るはずのない高い所にお住まいにお方、
そして歳の差。やはり宇宙人さんです。

思えば遠くへ来たもんだ。




伊勢屋の徳さんの似顔絵を載せておいて、
さて自分の顔はと思ったら、ずいぶん歳を経たものだ。
こんな感じの昨今です。
徳さんは65歳になられたそうです。同い年ですが以織はまだ64歳です。

歳は気になりませんが、体の衰えは気がかりです。
それを「歳を気にする」というのかな。

老人は、けれど、仕事に精を出していて、焼成期間に入りました。
あさってから本焼きの予定です。
迫っていきたいです。もっともっと。
欲だけは残っている以織じじです。
プロフィール

iorijiji

Author:iorijiji
井戸茶碗陶術遣い

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR