おにぎりコロコロ



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江戸前期に我が国の茶人からの注文によって焼かれた
李朝茶碗のなかに御所丸茶碗があります。
腰に太い溝を廻らした沓形が特徴です。
古田織部の影響をまともに受けたといっても過言ではないでしょう。
その一群の中に白釉の上に黒釉を大胆に刷毛塗りした
「御所丸黒刷毛目茶碗」があります。

以前より試作してはいましたが、
お見せ出来るものが今回初めて焼けました。
特にこの茶碗はひょうきんに変形してくれて、
掌の上でコロリコロリと可愛いく馴染みます。

本歌の御所丸の素地土は粗い磁器土というので、
拙作も粘り少ない磁器化する土にて作っています。
腰に廻る太い溝は成型時に出来るもので、
李朝陶工のロクロ法に由来すると思えます。
けしてワザとしているものでなく、
井戸形から筒茶碗形に変換する時、必然的につく溝です。
加えて、粘性がないのにも関わらず、
口縁を返すのでロクロ上の中心がズレます。
なので意識的に沓形にしなくても、自然に変形するわけです。

けれど、この茶碗ほど愛らしく変形するものは希です。
高台も不釣り合いな大きさです。
これも素地土の成せる技。
土物のような削りが出来ないからです。

磁器土はかなり乾燥してからでないと、削り成型時に割れます。
精土した粒子の細かな磁器土なら、
ロクロを回転させながらきれいに削れるのですが、
石まじりの粗いこの土では、そんな芸当は無理です。
結果、古作の李朝陶工もガリガリと高台周りを削ったのでしょう。
ごたぶんにもれずこの拙作も、大きく残った高台部の土分を、
釣り合いなどは考えられないので、カンナでごりごりと削った結果、
不釣り合いなままの釣り合いを見せてくれたわけです。

見込み側に薄紅色の窯変が出たのも、やはり素地土のせいです。
磁器土の成分のひとつである陶石が、
焼き方により僅かな鉄分と反応して、こうした窯変を生むようです。

銘を「おにぎり」にしようと転がしている次第です。

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井戸茶碗陶術遣い

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