「必要は母」なり。

呉須搔き落とし1

上の変哲もない画像、以織にとっては大成功なのです。

この技法「呉須絵搔き落とし」とでも呼ぶのでしょうか。
呉須で塗りつぶした後、針で表面を削り落として描画したものです。
さして珍しくもなく見えますが、画像のように焼き上がることはないのです。

恩人・仲森氏と共同で始めた呉須染付けの世界。
仲森氏は絵師役。以織は焼き役。
ところが二人して磁器は未開の分野です。
仲森氏が描いてくださった可愛らしい意匠を見て思いました。
「これは焼けない。どうすべぇ。」
でも焼いてみなければわかりません。
で、姉に仲森技法の搔き落としで描いてもらって焼いたのが次の画像です。

呉須搔き落とし2

やはり。呉須を引っ掻いて描画したはずが、
細い線はすべてつぶれてしまいました。「どうすべぇ。」

普段使いの昭和初期作かと思われる磁器小皿に、
この技法を使ったものがありました。
何枚かあるのですが、この皿の絵が一番見やすいので載せてみます。

呉須搔き落とし3

画像処理をして見やすくしてもこの程度です。
何やら山水らしき画が、
搔き落とし技法で表されているけれど、よくわかりません。
薄い呉須を使うことで、なんとか表現させたいことがうかがえます。

でもね。濃度の濃い呉須でも、搔き落としの針の線を表したいでしょう。
「必要は発明の母」とは名言ですね。
ある日ある方法を思いつきました。
「こんなにうまくいくとは思わなかった」けれどね。
ただし、これは陶器の温度域にて焼いたもの。
磁器の高温でのテストはまだです。高温ではダメかもしれません。

でもでも大成功なのです。
これは長年追いかけてきた「磁州窯手」に決着をつけてくれそうだから。
5年ほど前から、焼きは以織。絵付けは加津子姉といつもの分担をして
磁州窯手を追っかけてきました。
そして、次の画像までこぎ着けました。

磁州窯ウサギ


ほとんど成功しているみたいですが、
実は最後の一歩がわからずじまいでした。
この可愛いウサギの小皿はうまく焼けましたが,
ものすごく不安定で歩留まりが悪いのです。
コストも手間も普段焼いている陶器の倍は超えます。
1000年前の北方中国の民窯で焼かれたものとしては、
もっと低コストの焼物でなければならないはずなのに、
ずっと悩みの種でした。

でもね、今回の表現方法を手に入れたことで磁州窯手に手が届きそうです。
久しぶりに以織にはうれしいことでした。
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井戸茶碗陶術遣い

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